2018.10.31
さらなる介護サービスの質の向上を目指して、介護・ケアの第11回「事例研究発表会」を開催しました
こんにちは!
神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部の高橋です。
公社の介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ」の管理運営を行う(一財)シニアライフ振興財団が、10月19日(金)に「第11回事例研究発表会」を開催しました。
今回はその様子をお届けいたします。
介護分野における事例研究発表会とは?
「ヴィンテージ・ヴィラ」並びに移り住み提携施設「トレクォーレ横浜若葉台」にて生活援助や介護に携わるスタッフは、入居者と日夜向き合い、様々な課題に対して創意工夫・議論・研究を重ねながら、各部門との連携と行動をもってその課題を克服しています。
この事例研究発表会は、スタッフと入居者との日々の関わりから生まれる様々な事象や経験を『課題解決への経緯と成果』にまとめ、スタッフ自身が発表する場として平成20年から毎年開催しています。
シニアライフ振興財団は創立30年を迎え、事例研究発表会は11回目
今回は事例発表のほか、ヴィンテージ・ヴィラのアクティビティで行われている体操や、平成29年4月からスタートした在宅介護事業の取り組み発表も加わり、「ホーム」という枠組みを超えた充実した内容でした。
「顔の見えるケア」から「地域との関わり」まで、8つの部門から様々な演題を披露
会場は一般のお客様、審査員、関係者合わせて約100名と多くの方に来場いただきました。
各部門を巻き込み、チームとして支援に取り組んだ事例では、介護を必要とする前から介護支援という形ではなくても入居者の身近な存在としてケアスタッフが関わりを持ち、日頃から信頼関係を築けるように接することで入居者の反応や表情に変化の様子が見られ、情報や想いを共有することの重要性を感じました。
このほか、どの発表からもスタッフの日々の努力や苦労、課題を克服したときの達成感と入居者の笑顔が浮かんでくるようでした。
「ヴィンテージ・ヴィラの体操で得られる効果」と「地域とのつながり」
8部門による演題発表の後、ヴィンテージ・ヴィラの体操で得られる効果について発表がありました。
各ヴィンテージ・ヴィラでは週2回の体操プログラムや体力測定等を開催しています。
測定直後に個人結果表をお渡ししての面談は大変好評で、シニアライフ振興財団直営化前の平成28年度から直営化後には参加者が155%増となりました。
運動内容・強度を入居者の身体機能レベルに合わせての見直しや、部署を超えた横のつながりを構築できたこと、各施設スタッフから入居者に体操参加へ積極的にお声掛けの実施などを行なっています。
そのほか、「自主トレーニングのみの方」と「自主トレーニングとヴィンテージ・ヴィラの体操に参加されている方」を比べるとバランス能力に大きな差が生じていることから、ヴィンテージ・ヴィラにおける体操の有益さを教えられました。
発表資料より一部抜粋
また、様々な活動へ参加し「やってみたい!」という気持ちを満たすことは健康寿命の延伸にも繋がる大切なことです。
各ヴィンテージ・ヴィラでは地域サークルの紹介をしたり、地域の特性を活かしてノルディックウォーキングをアクティブティで薦めてみたり、フロントに地域情報誌を置くなど、地域との関わりを密にすることで、さらに充実した「ヴィンテージ・ヴィラ」ライフを過ごすことができるように日々努めています。
地域とのつながり「支えあい、いきいきと暮らせる街づくりを目指して」
今回はシニアライフ振興財団が平成29年4月から取り組んでいる在宅事業についても発表がありました。
シニアライフ振興財団運営のサービス付き高齢者向け住宅 コンチェラート相武台(相模原市南区)では、住み慣れた地域に住み続けることを希望する方を地域とのつながりを大切にしています。
地域とのつながりを大切にし、魅力的な地域づくりに貢献することは、あいさつのような簡単な声がけからはじまること、そしてその重要性を教えられました。
コンチェラート相武台は「地域」や「その人らしさ」を大切にしたケアに邁進する新星。12月には介護・認知症カフェがスタートし、多世代交流拠点も始まります。
発表資料より一部抜粋
8部署の中から最優秀賞を受賞したのは「トレクォーレ横浜若葉台」チーム
本発表会では毎回、外部および内部審査員による投票で最優秀賞と優秀賞が選ばれます。
第11回目の最優秀賞は「トレクォーレ横浜若葉台」チーム。優秀賞は「ヴィンテージ・ヴィラ向ヶ丘遊園」チームでした。その演題内容を以下に紹介します。
【最優秀賞】トレクォーレ横浜若葉台
テーマ:「大切なあなたの為に私たちができること」~ケアを受ける人、ケアする人が心地よいと感じる介護~
発表内容:
『ユマニチュード』とは、「見る」「話す」「「触れる」「立つ(歩く)」を4つの柱とした具体的な技術を用いて、認知機能が低下した人に「あなたは大切な人である」というメッセージを発信して関係性を構築するケア技法のこと。ケアを受ける人の能力を奪わず、その人の能力に応じたケアを提供することを重要な要素とし、最期まで人間らしい存在であり続けることを支えるという考えの技法です。
無意識のうちにスタッフがイメージする「その人らしさ」を活用することとし、研修に参加して学んだほか勉強会を開催。4つの柱を実践し、コミュニケーションが成立するようになるとともに笑顔が増え表情も豊かになったほか、スプーンを自分で口元まで運ぶ動作や歩行距離が伸び、その効果を実感した。
評価のポイント:
・ユマニチュードを取り入れた勇気を評価。スタッフ側に気付きを得られるチャンスがある技法。
・この取り組みで、実際に入居者の持つ力を最大限に発揮させることができている。
・ひとりひとりに寄り添ったケアができていることに高い評価。
【優秀賞】ヴィンテージ・ヴィラ向ヶ丘遊園
テーマ:笑顔の相乗効果、その先へ ~にやりほっとセカンド~
発表内容:
『にやりほっと』とは、スタッフが入居者のプラス面に目を向け、「にやり」としたり「ほっ」としたことを記録すること。
記録をつけるほか、全スタッフが供覧できるように不定期で「にやりほっと通信」を作成。
入居者本人が得意なことを見つけ、褒め、ありがとうと感謝の意を伝えることで本人の安心感や達成感に繋がっていき、ご本人が積極的に行動するようになり、穏やかに過ごされるようになった。笑顔の相乗効果のチカラを感じた。
評価のポイント:
・積極的に入居者ひとりひとりに寄り添うことが成果に繋がっていることに高い評価。
・入居者の人生を構築する一部であり、そのちからになっていく取り組みである。
・プラス視点で寄り添うことで部門をまたがって支援していることを評価。
発表会を終えて
今回の発表会では、いずれの部署も日々入居者に真摯に向き合っている姿勢や、入居者ひとりひとりの気持ちやお体に寄り添おうとする想いを感じることができ、審査委員から多くの賞賛が寄せられました。
当公社ならびにシニアライフ振興財団はともに、さらなる介護サービスの向上を目指します。入居者ひとりひとりに寄り添い、より充実した人生のサポートをスタッフ一丸となって取り組んでまいります。