2019.04.12
高齢者の頻尿の原因から対策を!効果的な改善方法とは
こんにちは!
神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部の髙橋です。
年齢と共に「トイレに行く回数が増えた」と感じている方は少なくありません。
高齢になると膀胱の容量が減少し、溜めておける尿の量も減るので、トイレが近くなるのはごく自然なことです。
でもトイレの回数が多くて、生活に支障が出るようになると困りますよね。
今回は頻尿について知るとともに、予防や対策についてもご紹介します。
高齢者に多い頻尿トラブルとは
頻尿とは、どのような状態を指すのでしょうか?
もしかして頻尿?と感じている方も、正しく自覚して早期改善するために知っておきましょう。
頻尿って、こんなこと
おおよそ、日中朝起きてから夜寝るまでの間に8回以上トイレに行く、夜間就寝中に2回以上トイレに起きる、といった状態になると「頻尿」と判断されます。
また、これらの回数に達していなくても、本人の自覚として「頻繁に尿意をもよおす」と感じている場合も「頻尿」と判断されます。
頻尿の種類にはどんなものが?
頻尿にはいくつかの種類があります。
もし症状に当てはまると感じたら、我慢せずにすぐ医師へ相談しましょう。
症状別にご紹介していきます。
・切迫性頻尿
「突然、我慢できないような強い尿意を感じる」ことが頻繁に起こります。
急すぎてトイレに間に合わない、力を入れたわけでもないのに漏れるなど、突然すぎる尿意が特徴です。
・神経因性頻尿(心因性頻尿)
「トイレが近い」と心配しすぎて、トイレに行きたくなるという悪循環に陥ることもあります。
膀胱に「尿を溜めておく」、膀胱から「尿を出す(排尿)」という体の働きをコントロールする神経の信号がうまく伝わらなくなり、しばしば尿意をもよおします。
この症状の場合、睡眠中には起こらないことが多く、乗車中や勤務中など尿意が起こっては困る場所で生じることが多いです。
膀胱は精神的な作用を受けやすく、心理的な負担(ストレスや心配事など)から頻繁に尿意を感じる「心因性頻尿」も神経因性頻尿に含まれます。
・夜間頻尿
就寝中に何回も尿意を感じて目を覚ましてしまい、トイレに行く(排尿する)ことです。
睡眠が不足するほか、高齢者の場合移動中に転倒してしまうことも多く、生活に支障を感じる代表的な頻尿です。
高齢者の頻尿、主な原因は?
高齢者の頻尿の原因は「加齢によるもの」と「病気によるもの」があります。
①排尿コントロールの機能低下による過活動膀胱
加齢に伴って、排尿をコントロールする自律神経の機能は低下してしまいます。
その影響で膀胱が過敏になり、十分な量の尿が溜まっていないのに膀胱が収縮し、急に強い尿意を感じるという症状が現れます。
女性に多い症状で、上記でも述べた「切迫性頻尿」の原因となります。
②水分の摂りすぎ
「高齢者は水分を積極的に摂りましょう」とよく聞きますが、実は意識しすぎて「摂りすぎ」になっている場合もあります。
特に就寝直前に水を多く飲むことや、利尿作用のあるコーヒーやアルコールなどの飲料を摂ると夜間頻尿の原因になりやすくなります。
利尿作用のある飲料は避け、水分の適量摂取を心掛けることが大切です。
③抗利尿ホルモンの低下と睡眠障害
若い頃は通常、睡眠中は抗利尿ホルモンの働きによって尿の生成がある程度抑えられています。
しかし加齢とともにこのホルモンの働きは弱まるため、夜間就寝中に多量の尿が作られる場合があり、夜間頻尿の原因となってしまうのです。
高齢者の眠りは浅いことが多く、目が覚めたときに何となくトイレに行ってしまい、結果的に夜間頻尿となってしまうケースもあります。
④精神的ストレスや緊張、自律神経の乱れ
不安や緊張などによる精神的ストレス、自律神経の乱れが心因性頻尿の原因になることもあります。
過去の排泄の失敗による不安や、トイレがない時に尿意が起こったら...という心配から膀胱が収縮しやすくなり、頻尿につながりがちです。
⑤膀胱炎などの尿路感染症
膀胱炎とは尿を溜める臓器である膀胱に炎症が起きている状態です。ほとんどの場合細菌が尿路から逆流して炎症を発生させます。
膀胱やその周辺に細菌感染などによる炎症が起こると、膀胱が刺激され頻繁に尿意を感じるようになります。
特に高齢者は膀胱炎が再発しやすく慢性化しやすいです。そのため、膀胱炎が原因となる頻尿の方も多いのです。
⑥前立腺肥大・前立腺がん
男性の場合、尿道を取り囲むように位置している前立腺が肥大すると、尿道が圧迫されて細くなり、尿を出しきりにくくなります。
膀胱内に残った尿が膀胱を刺激すると尿意を感じ、頻尿につながります。
高齢者が自分でできる頻尿の予防・改善策
病気が原因の頻尿は治療が最善ですし、病気が原因でなくても頻尿の症状に対する投薬で改善する場合があります。
自分でできる日々の対策もありますので、あらかじめ知っておきましょう。
「排尿日誌」で自分の排尿パターンを知る
まずは、自分の現状を把握するために「排尿日誌」を書いてみましょう。
排尿日誌は朝起きてから翌日の朝起きるまでを1日として、排尿した時刻と排尿量を記録します。インターネットで"排尿日誌"と調べるとさまざまな書式が出てくるので、そちらを活用しても良いかもしれません。
測尿用にメモリ付きの計量カップなどを使用すると、簡単に尿の量が分かります。
日誌というと毎日記録しないといけないと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、3~4日つけると、自分の排尿パターン(尿が多い時間帯、1回の量など)を把握できます。また、医師の診察を受ける際にも診断や改善に役立ちます。
①1日の排尿量での判断
成人の1日の排尿量は1500㎖程度、高齢者の場合1200㎖程度とされています。
1日あたり2000㎖以上の排尿がある場合は水分摂取量が多いかもしれません。
逆に1000㎖未満の場合は水分不足が疑われます。
自分の水分摂取量を見直し、適度な水分摂取を心がけましょう。
なお排尿量が多い場合、単なる水分の摂りすぎではなく、他の病気が原因の場合もありますので、医師の診断を受けてください。
②1回ごとの排尿量が少ない場合の判断
高齢者は平均100~150㎖の尿を膀胱に溜めることができ、排尿時に溜まった尿が全て出されます。
1回の排尿量が100㎖よりも少ない場合は、膀胱の容量が減少している可能性があります。
排尿量が少なすぎる場合、尿意を感じたときにちょっと我慢してみる「膀胱訓練」を行なうと膀胱の容量が増え、排尿の回数を減らす効果が期待できます。
「ちょっと我慢する」だけですが、膀胱に溜められる尿の量は少しずつ、確実に増えていきます。
最初は5~10分我慢してみる、尿意とは関係ない別のことを考えて気をそらすなどから始めると取り組みやすいかもしれません。
手足の筋肉を鍛える
膀胱は運動神経と知覚神経がつながっているので、なんと手足の運動で筋肉を鍛えることで、膀胱の筋肉までも自然とパワーアップするんです!
ちょっと不思議な感じですよね。膀胱の筋肉が鍛えられると、排尿しやすくなりますよ。
あわせて「骨盤底筋」のトレーニングも大事。
お腹に手を当てお尻の穴をキューッと締めた状態を5秒間止まり、ゆっくりと力を抜いて5秒間休憩。膣や尿道を引き締めるイメージで、1日8〜10回行うのがベストです。
ぜひ、毎日の習慣にしてみましょう!
まとめ
・「頻尿」は、起きている間に8回以上、寝ている間に2回以上トイレに行く(排尿する)状態のことです。切迫性頻尿、夜間頻尿など色々な種類があり、思い当たる症状があれば早めに受診しましょう。
・頻尿の原因は、加齢による身体機能の衰え、病気など様々です。多い原因として過活動膀胱や水分の摂りすぎ、精神的ストレスや自律神経の乱れ、膀胱炎などがあります。
・適切に対策することで頻尿の予防や改善につながります。まずは自分の排尿パターンを把握して、自分に合った対策をしてみましょう。日頃から運動を心掛け、筋肉をつけることも大事です。
神奈川県住宅供給公社の介護付有料老人ホーム(入居時自立)ヴィンテージ・ヴィラでは、「食事」の他にも健康寿命延伸に向けた取組みとして、「運動」や「生きがいづくり」にも注力し、ご入居者の「生涯自立」(食事・入浴・排泄に介助を必要としない状態であること)を支援しています。
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