2018.10.15
高齢者は体温調節が重要?!その理由と注意点とは
こんにちは!
神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部の髙橋です。
体温は高齢者の方の健康状態を把握する上で、大切な要素の一つです。
高齢者は運動不足などにより汗腺の機能が低下し、体温調節能力も低下しやすくなります。
自分で気を付けようと思っても、基本的な知識がないと間違った体温調節となりがち。
今回はなぜ高齢者にとって体温調節が重要か、体温調整の注意点や対策についてお話しします。
高齢者の体温調節はなぜ重要?加齢による体温の変化とは
人の体温は36℃~37℃程で調節される仕組みになっています。しかし年齢を重ねると体温の調節をする機能は低下してしまうと言われています。
加齢や運動不足は汗腺の機能も低下させるため、汗の量も少なく、汗をかきにくくなることで体温が調整しづらくなります。
そのため、高齢者は暑さや寒さに適応することが難しくなってしまいます。
夏は暑さを感じにくく熱中症に、冬は寒さに気づかず低体温症になってしまいがちです。
また、高齢者になると肺炎やインフルエンザになっても体温が上がらないことが多いのです。
ちょっと具合が悪そうだなと思ったら、熱がほとんど出ていないのに重症化してしまう「無熱性肺炎」になっている可能性も!
気づかないうちに進行すると、命にかかわる危険性も伴います。
正しい体温調節を日頃から気を付けることが、高齢者にとって非常に重要なのです。
高齢者の体温調節における注意点や対策
高齢者の体温調節について、具体的にどう注意していけばよいかをご紹介します。
無熱性肺炎や熱中症を起こさないために気を付けることについてもお話しますね!
体温調節における注意点
1.寒暖の厳しい環境をなるべく避ける
寒暖差は自律神経に大きく影響を与えると言われています。
自律神経は発汗や体温の調節を担っているため、気温差に合わせようと体温が乱れやすくなってしまいます。
暑さや寒さに対する感覚が弱くなる高齢者は、暑いと熱中症に、寒いと低体温症になりやすいため注意が必要。
温度が極端な日は、なるべく室内で過ごすようにしましょう。
2.室内の温度にも気を付ける
高齢者は汗をかく機能が低下するため、熱の放出が抑制されてしまい、熱が体内にこもりがち。
そのため、体調の変化もないのに微熱が出ることも多いです。
高齢者の方にとって体温調節の補助として、エアコンは必需品と言えます。
一般的に、室内の適温は
夏25~28℃(湿度55~65%)
冬18~22℃(湿度45~60%)
室外との温度差は5℃程度が理想。
この温度に合わせて冷房・暖房を設定しておくと、バランスが取りやすくなります。
目につくところに温度計を設置するのも良いでしょう。
無熱性肺炎や熱中症を起こさないためには
第一に、家族や周りの人が細かな変化に気づけるよう観察することが大事。
声をかけるなど普段からコミュニケーションを取ることが予防につながります。
言葉数が極端に少ない、ぼんやりした表情、声かけに対する応答が正常かなどの変化を見逃さないようにしましょう。
肺炎を防ぐためには、体がだるい・ろれつが回らないなど微熱でも少しおかしなところがあれば、すぐ病院へかかること。
熱中症を防ぐためには喉が乾いたと感じる前にこまめに水分をとること、31℃以上の日はなるべく涼しい室内で過ごすこと、外出の際に帽子や日傘を利用することが大切です。
ポイントや注意点をしっかり押さえ、体温調節をしていきましょう。
実は多い!危険な高齢者の低体温症
高齢者は、屋内にいても気づかないうちに低体温症になることがあります。
特に高齢者は、体を温かく保ち寒さに適応する力が弱いため、低体温症に陥りやすいのです。
低体温症とは、体温が35度以下に低下する場合のことを指します。
体温が35℃以下になるとゆっくりと体温が落ち続けるため、自覚がないまま低体温症が起こりやすいのです。
一人では気づかない場合も多いため、寒い時期は特に注意が必要。
部屋は19℃以上に保つ、重ね着や厚手の靴下を心がけてひざ掛けを使う、寝巻の下にアンダーウェアを身に着けるなど予防策も大事です。
低体温症になると、体が激しく震えます。
さらに体温が低下すると震えが止まり、意識を失い昏睡状態に陥ることもあり危険です。
低体温症の初期であれば、暖かい場所で毛布などで保温し、熱い飲みものを飲ませることで回復します。
ただし低体温症が進行して「意識がもうろうとする」「体の動きがぎくしゃくする」場合は要注意!すぐに救急車を手配しましょう。
病院では体の表面を温めるだけでなく、温かい点滴などを与えて、体温を上げる対処法をとります。
まとめ
・高齢者は加齢や運動不足により汗腺の機能も低下するため汗の量も少なく、汗をかきにくくなることで体温が調整しづらくなります。暑さや寒さに適応することが難しくなってしまうので夏は熱中症に、冬は低体温症になりがち。正しい体温調節を日頃から気を付けることが重要です。
・体温調節における注意点は、寒暖の厳しい環境をなるべく避けること、室内の温度にも気を付けること、家族や周りの人が細かな変化に気づけるよう観察することです。
・「無熱性肺炎」を防ぐには微熱でも少しおかしなところがあれば、すぐ病院へかかること。熱中症を防ぐためにはこまめな水分補給、暑い日は涼しい室内で過ごすこと、外出の際に帽子や日傘を利用することが大切です。
・高齢者にとって危険な低体温症は、屋内にいても気づかないうちに発症することがあります。普段から体を温める服装を心がけ、「意識がもうろうとする」「体の動きがぎくしゃくする」場合はすぐに救急車を手配しましょう。
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ご高齢になると家族や周りの人が細かな変化に気づけるようにすることが大切。
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お仕事を引退し楽しいシニアライフを送るためには、健康であることが重要です。
体温調節は健康であるために欠かせません。
今回紹介した体温に関するポイントを押さえ、体に生じる変化に気づき予防していきましょう!