2019.05.08
高齢者の運動はなぜ大切?効果的な方法や注意は?
こんにちは!
神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部の髙橋です。
年を重ねるごとに、「体力が落ちた」「若い頃のようにすばやく動けない」と悩んでいる方は少なくありません。
文部科学省の調査によると、運動能力・体力は40代後半になると著しく落ちる傾向にあることが分かっています。
しかし年齢と共に体力が落ちるといっても、低下の度合いには個人差があり、普段から運動を行う人と行わない人では差が出てきます。
今回は、高齢者にとって運動がなぜ大切なのか?
運動を行う上で効果的な方法や、注意しなければならないことを紹介いたします。
高齢者に運動は欠かせない!なぜ必要?
年々衰える筋力の低下を抑え、維持するために運動はとても効果的です。
運動することによって筋力維持はもちろんバランス感覚を養うこともできるため、転倒事故の防止にも繋がります。
筋力低下が生じると疲れを感じやすくなり、外出が億劫になって家に引きこもりがちになることがあります。
引きこもりがちになるとますます筋力が衰え、悪循環を引き起こします。
また、外からの刺激がないことで認知症を発症する確率も高まります。
日常生活の中に運動を取り入れることは歩行機能を高め、認知症防止にもつながります。
本格的な運動でなくとも、散歩など日頃から少しでも体を動かす習慣をつけることが大切です。
また、高齢者は定年退職などを契機に孤独感を感じやすくなり、うつ病になりやすいといわれています。外出は気分転換としても良い効果が得られます。
歩く際に大きく手を振って、少し早歩きするだけでも健康寿命の延伸に効果があるといわれています。
公社の有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ」でもウォーキングの中に少しの早歩きを加えることを推進し「歩きの質」を測定する機器を導入するなど、歩くことで「寝たきり」「うつ病」「認知症」を予防し、健康寿命延伸の取り組みに力を入れています。(詳しくはSウォーキング講習会について)
運動が苦手な方も、まずは無理のない日常生活の中に運動を取り入れる程度から体を動かすことがおすすめです。
また運動を日常的に行なわない場合、筋力の衰えだけでなく体全体の機能が落ちやすくなってしまいます。
たとえば、骨・筋肉・関節・神経等が衰えて寝たきりへとつながる「ロコモティブシンドローム」や、筋力の低下や活動量の低下・歩行速度の低下・易疲労性・体重減少を伴い、サポートなしでは自立した生活が行えない「フレイル」と呼ばれる状態になりやすくなってしまいます。
加齢に伴う体力低下から要介護認定を受ける場合、フレイルの状態を経て要介護となっていきます。介護予防のために、普段からの運動習慣が大切です。
また適度な運動は、疲労感の減少や食欲の増進にも繋がります。
健康維持や心身のリフレッシュとして日々の生活に運動を取り入れて、生き生きとした毎日につなげましょう。
高齢者向きの効果的な運動とは?
厚生労働省は健康寿命を延ばすために今よりも10分多く体を動かすことを推奨しています。
なお65歳以上の場合、通勤や通学・家事などの日常生活における「活動」とスポーツなどの「運動」をあわせて毎日40分以上行なう「運動習慣」をつけることが望ましいとされています。
プラス10分で取り入れやすい具体的な日常運動と、高齢者におすすめの運動をご紹介します。
日常生活で行えるプラス10分のおすすめの動作
・散歩や家庭菜園、ラジオ体操などの体を動かす趣味を持つ
・買い物は歩いて行くように心がける
・歩幅を広くして歩くようにする(早歩きに繋がります)
・エレベータやエスカレータなどの乗り物を控える
・なるべく遠くのトイレを使うようにする
・寝る前に軽いストレッチや筋トレを行う
(参考資料:厚生労働省「健康づくりのための身体活動指針(アクティブガイド)」)
高齢者におすすめの運動の種類とその効果
■ウォーキング・散歩、水泳・水中歩行などの有酸素運動
呼吸循環器系の機能強化や持久力を維持することができます。
全身の血行を促すため、脳の血流も良くなり認知症予防にもなります。
■ラジオ体操・ストレッチ・ヨガ
簡単な動きが多いので、無理なくスタートする第一歩としておすすめです。
筋肉や関節の柔軟性や集中力の向上を維持することができ、肩こりや腰痛の改善、免疫力や新陳代謝も高まるため、若返り効果も期待できます。
■フラフープ、バランスボール
バランス感覚や体幹・姿勢を鍛え、転倒予防や歩行速度を高めます。
姿勢が改善されると、肩こりや腰痛予防に繋がります。テレビを見ながらなど「ながら運動」で取り入れやすいので気軽に始められます。
■スクワットなど下半身の筋力トレーニング
下半身の筋肉を鍛えることで、筋力アップや関節・膝の痛みを軽減させます。
いきなりスクワットは大変!と感じる方も多いので、高齢者の方は「ハーフスクワット」もおすすめです。
ハーフスクワットは、膝よりもおしりの位置が高い状態で行います。加齢と共に筋肉は下半身から衰えるため、歩行を安定させることにも非常に効果的です。
自分の行える範囲で、無理なく毎日運動を続けることは、筋力の維持やバランス感覚を養い、認知症の予防にも繋がります。
じっとしている時間を減らして、体を動かすことが日常となるように習慣化することが大切です。
高齢者が運動をする際の注意点
高齢者の無理な運動は、転倒や骨折、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めるため、注意が必要です。
運動を行っていなかった方が急に始めると体がうまくついていかず、かえって体調を壊してしまうこともあります。
高齢者の方が運動をする際の注意点をご紹介します。
自分の体力・体調を把握する
毎朝体温を測って自分の平均体温を把握し、鏡で顔色をチェックすることが大切です。
食欲のあり・なしにも気を配り、今日はいつもと違う・調子が悪いと感じたら無理せず休みましょう。
持病を持っている方は医師に相談し、無理のないようにしましょう。
血圧管理を行う
収縮期血圧180mmHg以上、拡張期血圧110mmHg以上の高血圧の方は運動への参加制限されています。
1日2回、毎日同じ時間に血圧を測定すると正確な血圧を把握することができ、安心です。
無理に運動を行うと心筋梗塞や突然死のリスクを高めてしまいます。
高血圧の薬を飲んでいる方は、薬で血圧をコントロールしていることを忘れないようにしましょう。
水分補給はしっかりと
水分補給は熱中症や脱水症状を防ぎます。喉が渇く前に行うのがポイントです。
運動時の水分補給は15~30分ごとに一口~コップ半分程度を目安に行うようにしてください。
水、またはぬるま湯、スポーツドリンクを飲みましょう。
市販のものは砂糖の量が多いので、3倍くらいに水で薄めて飲むことをおすすめします。
塩分が足りない商品もあるので、その場合は塩をひとつまみ程度、しょっぱいと感じない量を入れるのがおすすめです。
無理をせず、適度な休憩をとる
気分がのらない時や、やる気がでないときは不調のサインということもあります。
熱や風邪の症状がないからといって、無理をするのはやめましょう。
特に行事やイベントなどは、多少無理をしてでも参加しようと思ってしまいがちですが、無理は禁物です。
疲れを感じたら、こまめに休憩するよう心がけるようにしましょう。
まとめ
・年々衰える筋力の低下を抑えて維持する為には、運動を行うことが大切です。体力の強化も期待できるほかバランス感覚を養い、全身の血行も良くなります。転倒予防や認知症予防が期待できます。
・高齢者におすすめの運動はウォーキングなどの有酸素運動や柔軟性を高める体操やストレッチ、バランス感覚を保つバランスボールやフラフープ、筋力アップのトレーニングなどです。普段よりも10分長く運動することを日々意識し、無理なく続けられることが大切です。
・無理な運動をして体調を崩さないように、日頃から体調管理をしっかりと行い、適度な休憩や水分をとることが大切です。医師やトレーナーなど専門家の意見を聞きましょう。
公社の介護付有料老人ホーム「ヴィンテージ・ヴィラ」ではアクティビティ専門スタッフが在籍し、ご入居者のお身体に合わせた運動の指導を行っています。
転倒予防や骨粗しょう症予防、認知症予防などさまざまな効果のある運動プログラムを用意しており、ご入居者は自由にご参加いただくことができます。
また、ヴィンテージ・ヴィラには筋トレ器具も置いてあるため、ご自身の都合や状態に合わせていつでも自主的にトレーニングを行なうこともできます。(※アクティビティプログラム時を除く)
ご入居は入居時自立が条件ですが、入居後万が一、介護が必要になった場合でも、ヴィンテージ・ヴィラにて介護サービスを行います。
さらに、介護度が重くなった場合には介護専用型のトレクォーレにて、より手厚い介護サービス体制を整えています。
またヴィンテージ・ヴィラでは、「生涯自立」(食事・入浴・排泄に介助を必要としない状態であること)に力を入れており、ご入居者の方々が介護なしで、お元気でお過ごしいただけるように、「介護予防」としてさまざまな取組みを進めております。
これらの取り組みは公社の情報誌・シニアライフ誌でもご紹介しています。
シニアライフ誌では、さまざまな観点からお役立ちの最新の情報を提供しています。
ヴィンテージ・ヴィラへのご興味、シニアライフ誌のご購読希望がございましたら、ぜひシニアライフ倶楽部にご入会くださいね!
お問い合わせは下記までお気軽にどうぞ!
神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部 0120-428-660(フリーコール)
[受付時間:平日9時~17時]