2018.05.21
高齢者は水分補給が大事!脱水症状を起こさないために
こんにちは!神奈川県住宅供給公社 高齢者事業部の髙橋です。
暑い夏には特に気になる水分補給や脱水症状ですが、実は高齢者は季節を問わず注意が必要です。
年を重ねるとともに体内の水分量バランスが崩れやすくなり、脱水症状を起こしやすくなるためです。
今回は高齢者の水分補給についてのお話。
高齢者が脱水症状を防ぐために効果的な水分補給の方法や頻度、一日に必要な水分量などについてご紹介します。
高齢者は体内の水分量バランスが崩れやすいので水分補給が大切
人間が健康に生活するためには水分摂取が欠かせません。
成人の場合、一般的に体重の50~70%が水分といわれています。
この体内の水分量は加齢とともに減少するといわれ、高齢者は50%程度まで減少してしまいます。
高齢者が水分量のバランスを崩しやすい理由は主に次の5つです。
1)内蔵の機能や筋肉が衰えるため
加齢とともに腎臓機能が低下し、老廃物排出のためにより多くの水分が必要になります(排尿量が増える)。
また、水分は筋肉にも含まれているため、加齢により筋肉量が減ると体内に蓄えられる水分量も減ってしまいます。
2)喉の渇きを感じにくくなるため
年を重ねると体の感覚も鈍くなってきます。
喉の渇きを感じる「口渇中枢(こうかつちゅうすう)」の働きが減退し、体が水分不足になっていてもその状態に自分自身が気づきにくくなっています。
そのため水分補給が遅れ、脱水状態になりやすくなるのです。
3)食欲不振や嚥下(えんげ)障害で水分を取りづらくなる
食事にもたくさんの水分が含まれているため、食欲不振や嚥下障害などで食事量が減ってしまうと水分摂取量も減少してしまいます。
4)病気や服用している薬の影響など
糖尿病や降圧剤の作用などで尿量が増えてしまう場合があります。
通常より水分を多く排出してしまうので、意識して水分補給をしなくてはいけません。
5)水分摂取を意識的に減らしてしまうことも
就寝中のトイレの回数を減らすために、意識的に水分摂取を控えてしまう場合があります。
トイレ介助が必要な方などに多い傾向があります。
高齢者の水分補給のポイント
人間は尿や汗、呼吸などによって、一日約2.5Lもの水分を失っています。
体内の水分量バランスを適切に保つためには、一日に失う量と同じだけ水分を摂取する必要があります。
食事からも水分は摂取されているため、飲料水などで摂取が必要な水分量は1日およそ1.2~1.5 L 程度となります。
食事だけでは1日に必要な水分を摂取しきれないため、食事以外でも意識的に水分を取るようにしましょう。
高齢者の上手な水分補給の方法をご紹介します。
タイミングを決めて、喉が乾く前に水分を摂る
高齢者は喉の渇きを感じづらくなっているため「喉が渇いたな」と思った時にはすでに水が足りない状態です。
喉の渇きを感じる前に意識して水を飲むようにしましょう。
起床時、食事の際、入浴後、就寝前などタイミングを決めて飲むと良いですね。
起床時、入浴後は特に水分が失われているタイミングのため、プラス1杯(合計2杯)水を飲むようにすると良いかもしれません。
フルーツやゼリーなどで美味しく水分補給
ただただ水をガブガブ飲むのも辛いもの。
フルーツやゼリー、水ようかんなど水分を多く含む食べ物で水分を摂取するのもおすすめです。
好みや体調に合わせて美味しく水分補給をすることができます。
程よい運動で汗をかいて新陳代謝を上げるものおすすめ
汗をかくと余計脱水になってしまうのでは?と思うかもしれませんが、汗をかくと喉の渇きも感じやすくなり、積極的な水分補給につながります。
適度な運動で基礎代謝や筋肉量を上げることにより、体に蓄えられる水分量の減少を防ぐこともできます。
高齢者に多い脱水症状のサインを見逃さないで!
高齢者は体内に蓄えられる水分量が少なく、脱水症状を起こしやすいです。
脱水症状は健康に大きな影響を与え、重篤な場合は命の危険にもつながってしまいます。
高齢者に多い脱水症状のサインとその場合の応急処置について確認しておきましょう。
脱水状態が疑われる症状
・唇がカサカサしていたり口の中が乾燥している
・トイレの回数や量が減る
・尿の色が濃くなる
・汗をかくことが減り、脇の下が乾燥している
・手足の先が冷えて冷たい
ひとつでもチェックが付いた場合、脱水状態が疑われます。
水分と電解質を効率的に摂取できる「経口補水液」で水分補給を行いましょう。
経口補水液の一日の摂取目安は500mℓのペットボトル1本程度です。(※塩分の摂取について医師から指示を受けている方は、飲用前に医師へ相談してください。)
上記の症状に加え、下記のような症状がある方は、さらに重症の場合があります。
・爪を押した時の変色が元に戻るまで3秒以上かかる
・ぼーっとしたりうとうとしたりする状態が頻繁に見られる
・めまいやふらつきがある
・頭痛、吐き気がある
この様な時は経口補水液の摂取量を2倍程度に増やしてみましょう。
嘔吐や下痢などがある場合は、嘔吐・下痢の度に少しずつ摂取することも必要です。
また、状態によっては早めに医師の診断を受けることをおすすめします。
まとめ
・人間は体重のおよそ50~70%が水分と言われています、高齢者は内臓や筋肉の衰えから体に蓄えられる水分量が減り、さらに病気や薬などの影響から排出水分量も増えるため、体内の水分量バランスが崩れてしまいがちです。
・一日に摂取が必要な水分量はおよそ2.5Lです。食事から摂取している水分量を抜くと、一日におよそ1.5L程度の水を飲む必要があります。起床後や就寝前など水を飲むタイミングを決めて喉が渇く前に水を飲んだり、フルーツやゼリーで上手に水分を摂ったりすると良いでしょう。適度な運動で水分を蓄えやすい体作りも重要です。
・高齢者は体に蓄えられる水分量が少ないため脱水症状を起こしやすいです。唇がカサカサしている、トイレの回数や量が減った、汗をあまりかいていないなどの症状は脱水症状のサインです。重症になる前に、効率的に水分と電解質を補給できる「経口補水液」で水分補給をするようにしましょう。脱水症状が進み頭痛やめまい、嘔吐、意識障害などが出ている場合は早めに医師の診断を受けるようにしましょう。
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